現在地M&A資格総合
制度・費用

M&A支援機関登録制度と資格の関係。登録に資格は要るのか

先に結論

M&A支援機関登録制度は機関(法人・個人事業主)を単位とする登録で、個人が資格を取れば登録できる仕組みではありません。中小企業庁が示した令和4年1月の制度概要では、登録要件の中心は中小M&Aガイドライン遵守の旨を申請フォームで宣誓することとされ、個人の資格や免許の保有を要件とする記載は見当たりません。ただし令和8年度は登録要件・継続登録要件として報告内容が変更されており、詳細は公募要領に規定されるため、申請前に必ず同要領で確認してください。

この記事の結論

  1. 01

    登録制度は「機関の登録」、資格は「個人の証明」。混同すると、必要のない資格取得や、登録できると思い込んだ準備につながる。

  2. 02

    令和4年1月の制度概要では、登録要件の中心は中小M&Aガイドライン遵守の旨の宣誓とされ、個人の資格・免許の保有を要件とする記載は見当たらない。令和8年度の要件は公募要領で確認する必要がある。

  3. 03

    令和4年1月の制度概要では、登録の対象はファイナンシャル・アドバイザー(FA)業務または仲介業務を行う者に限られ、デューデリジェンスのみを行う士業等専門家は対象としないと明記されている。

  4. 04

    登録の実利は補助金にある。事業承継・M&A補助金の専門家活用枠では、FA・仲介費用について「M&A支援機関登録制度に登録されたファイナンシャルアドバイザー(FA)またはM&A仲介業者によるFAまたはM&A仲介費用に限る」とされている(同枠の補助対象経費には、このほかデュー・ディリジェンス(DD)・セカンド・オピニオン・表明保証保険料等も挙げられている)。十六次公募の公募申請受付期間は令和8年10月2日(金)から令和8年11月6日(金)17:00(予定)。

  5. 05

    資格の意味は「登録の可否」ではなく「担当者個人の説明力の裏づけ」。制度の詳細公表を待ちつつ、いま取れる資格で知識を体系化しておくのが現実的な順番(当メディアの整理)。

01

登録制度と資格の違い(最終確認日:2026-10-26)

M&A支援機関登録制度と中小M&A資格試験(創設予定)の比較(登録制度の欄は2026-10-26確認、資格試験の欄は検討会資料に基づく現状案で2026-09-30確認)
比較項目M&A支援機関登録制度中小M&A資格試験(創設予定)
単位機関。1事業者(法人・個人事業主)につき1登録(令和4年1月の制度概要による)個人
所管・運営者中小企業庁中小企業庁が運営主体として実施予定。検討会資料では委託先を「毎期、公募により選定」するとされている。令和8年度(初回)分の委託先は株式会社銀行研修社に決定(2026年5月1日公表)
対象FA業務または仲介業務を行う者。業種は問わず、仲介業務を行う金融機関も対象。デューデリジェンスのみを行う士業等専門家は対象としない(令和4年1月の制度概要による)未公表。検討会資料では仲介・FA等の専門業者やその他の支援機関に所属する者などを主な受験対象として想定
中心となる要件中小M&Aガイドライン遵守の旨を申請フォームで宣誓(令和4年1月の制度概要による。令和8年度の要件は公募要領を参照)未公表
費用令和4年1月の制度概要および令和8年度公募ページに登録手数料の記載は見当たらない。費用条件は公募要領で要確認未公表
登録の有効期限令和8年度公募分は令和9年7月末まで検討会資料(第5回・令和8年7月21日開催)は登録継続期間を「3~5年を想定」とし、資格有効期限は「期限なし、又は、3~5年などの一定期間を設定」と両案を併記(現状案)
主な義務・登録要件申請時に登録申請フォーム・手数料体系報告フォーム・支援業務報告フォームの申請が必要(令和8年度公募ページによる)。登録後は毎年度の実績報告を提出(令和4年1月の制度概要の「③ 毎年度、実績報告を提出」による)倫理規程の遵守、倫理規程に違反した場合の処分(氏名公表等)への同意、登録時および定期的な講習の受講が登録要件として想定(現状案)
主な効果事業承継・M&A補助金 専門家活用枠のうち、FA・仲介費用に係る補助対象要件(十六次公募の公表資料による)データベースにおいて倫理規程を遵守する資格保有者として氏名公表、資格証の交付が登録のメリットとして想定(現状案)

登録制度の記述は中小企業庁「M&A支援機関登録制度の申請受付(令和8年度公募)について」および同庁財務課の令和4年1月の制度概要資料に基づきます。このうち令和8年度公募・登録業者の公表・補助金に関する記述は2026-10-26に原典で再確認しました。令和4年1月の制度概要資料に基づく記述(1事業者1登録、ガイドライン遵守の宣言、デューデリジェンスのみを行う士業等専門家を対象としないこと、仲介業務を行う金融機関を対象とすること、毎年度の実績報告、登録手数料の記載がないこと)は、2026-10-26に同資料の本文で再確認しました。年次を付した記述は当該年次の資料に基づくもので、2026-10-26時点の要件は公募要領で確認が必要です。年次を明示していない登録制度の記述も、出典は同じ2資料です。補助金に関する記述の出典は、事業承継・M&A補助金(十六次公募)の公表資料です。資格試験の記述は同庁の検討会資料に基づく現状案で、確定情報ではありません(試験実施の委託先は同庁が2026年5月1日に公表した採択結果によります)。

比較のあとに

比べた条件のまま、いまの理解度を無料で確認できます。

中小M&A資格が自分に合うか確認する

当メディア運営者が提供するサービスです(開示)

支援機関側の実務で問われる財務・法務・倫理のどこが弱いか、20問で確認できます。

02

令和8年度公募の要点(2026-10-26確認)

M&A支援機関登録制度 令和8年度公募の公表事項(中小企業庁の公表ページ、確認日:2026-10-26)
項目公表されている内容
申請受付期間令和8年5月29日(金)~令和9年2月12日(金)
公表の頻度「(前略)毎月月末までに申請のあったもの(公募期限の令和9年2月は2月12日18時まで)について、翌月中旬頃(令和9年2月分は3月中旬頃)を目途に登録FA・仲介業者を公表するとともに、申請者に対して登録した旨の通知を行う予定です。」と公表されている
登録の有効期限令和9年7月末まで
詳細要件「M&A支援機関登録制度公募要領(令和8年度)」に規定
申請時のフォーム登録申請フォームのほか、手数料体系報告フォーム、支援業務報告フォームの申請も必要
苦情・情報提供情報提供受付窓口が設置され、登録されたFA及び仲介業者の不適切な対応に関する情報の提供を受け付けている
直近の公表実績令和8年度公募(9月分)の公表(2026年10月20日)は「今回、登録されたFA及び仲介業者は全65件となります(法人58件、個人事業主7件)。」「これにより、現在(令和8年10月20日時点)、登録されているFA及び仲介業者は3,427件となります(内訳は、法人は2,648件、個人事業主は779件)。」(確認日:2026-10-26)
令和8年度の変更「今年度より、支援機関の活動状況をより正確に把握することを目的に、登録要件、継続登録要件として報告内容を変更しております」と公表されている。変更の具体内容は公募要領に規定

受付期間・有効期限・提出フォームは年度ごとに設定し直される運用です。申請の可否を判断するときは、必ずその年度の公募要領で最新の条件を確認してください。

03

登録はいつ申請すると、いつ公表されるか

中小企業庁は、M&A支援機関登録制度の令和8年度公募について、申請受付期間を令和8年5月29日(金)から令和9年2月12日(金)までとし、「(前略)毎月月末までに申請のあったもの(公募期限の令和9年2月は2月12日18時まで)について、翌月中旬頃(令和9年2月分は3月中旬頃)を目途に登録FA・仲介業者を公表するとともに、申請者に対して登録した旨の通知を行う予定です。」と公表しています(中小企業庁「M&A支援機関登録制度の申請受付(令和8年度公募)について」2026年5月29日公表、確認日:2026-10-26)。令和8年度公募で直近の公表は2026年10月20日の9月分です(確認日:2026-10-26)。登録件数とその推移はM&A支援機関は社員に資格取得を推奨すべきかにまとめています。

この公表サイクルから、申請の時期によって次の3点が読み取れます。

  • 公表までの待ち時間は、申請が月末に近いほど短くなる。中小企業庁は毎月月末までの申請分を翌月中旬頃に公表する予定としているため、月初に申請した場合も公表はその月の中旬ではなく翌月中旬頃が目途になる(確認日:2026-10-26)。
  • 翌月中旬頃の登録は確定した期限ではない。中小企業庁は「登録の要件を満たしていることを確認する目的で、中小企業庁又はM&A支援機関登録制度事務局が調査等を行う場合、申請の翌月中旬頃の登録を行うことができない場合があります。」と公表している(確認日:2026-10-26)。
  • 登録の有効期限は令和9年7月末までと公表されており、申請した月によって延びない。中小企業庁の令和8年度公募の公表ページは有効期限だけを示し、有効期間の起算日を記載していないため具体的な月数は算定できないが、公募期限間際に申請して令和9年3月中旬頃に公表された場合、期限までに残る期間は早い時期に登録した場合より短くなる(確認日:2026-10-26)。

補助金を前提に登録を急ぐ場合は、補助金の公募締切と登録の公表サイクルの両方を見る必要があります。中小企業庁が2026年9月4日に公表した事業承継・M&A補助金(十六次公募)では、公募申請受付期間が令和8年10月2日(金)から令和8年11月6日(金)17:00(予定)とされ、専門家活用枠の補助対象経費のうちFA・仲介費用は「M&A支援機関登録制度に登録されたファイナンシャルアドバイザー(FA)またはM&A仲介業者によるFAまたはM&A仲介費用に限る」とされています(確認日:2026-10-26)。登録がどの時点で済んでいる必要があるかは、中小企業庁「中小企業生産性革命推進事業「事業承継・M&A補助金」(十六次公募)の公募要領を公表します」(2026年9月4日公表)のページには記載されていません(確認日:2026-10-26)。補助金の利用を前提に登録を進める場合は、同補助金の公募要領とM&A支援機関登録制度事務局で必ず確認してください。

M&A支援機関登録制度の登録は年度ごとに申請と報告をやり直す手続きで、同じ年度内でも登録した時期によって期限までに残る期間が変わります。一方で中小M&A資格試験の側も、検討会資料(第5回・令和8年7月21日開催)では登録講習の修了と更新講習の修了を要件とする案が示され、資格有効期限は「期限なし、又は、3~5年などの一定期間を設定」と両案が併記されています(現状案、2026-10-26確認)。更新のリズムは両制度で別建てになる見込みです。

04

「資格を取れば登録できる」ではない理由

登録の入口に置かれているのは、資格ではなく行動の約束です。中小企業庁財務課の令和4年1月の制度概要では、申請時に宣誓・提出を求める事項として、申請者の基本属性、要件充足(中小M&Aガイドライン遵守の旨)の宣誓と料金表、ネガティブ事項への非該当性が挙げられています。遵守の強度も、規定内容そのままの遵守を求める事項と、中小M&Aガイドラインの趣旨に則った遵守を求める事項に分けて整理されています。つまり登録の可否を分けるのは、個人が試験に受かったかどうかではなく、機関として業務のやり方を約束できるかどうかです。

その約束の中身を定めているのが中小M&Aガイドラインで、2026-10-26時点の最新版は2024年8月改訂の第3版です。第3版の改訂内容には、提供する業務の内容・質と手数料について中小企業向けに確認すべき事項の解説、仲介者・FAに対する説明要件の追記、営業・広告に係る規律の明記、禁止される利益相反事項の具体化、最終契約におけるリスク事項の解説、不適切な譲り受け側の市場排除に関する対応要件の追記が含まれます。登録とは、これらを守ると表明し、報告と情報提供受付窓口を通じて確認される立場に入ることを意味します。令和8年度公募では「今年度より、支援機関の活動状況をより正確に把握することを目的に、登録要件、継続登録要件として報告内容を変更しております」と公表されており、報告の求められ方は年度ごとに動きます。

資格が効いてくるのは説明の場面です。ガイドラインが求める説明の質は、最終的には担当者個人の知識に依存します。経済産業省のウェブサイトに掲載されている「中小M&Aガイドライン(第3版)に関するQ&A」でも、④「M&A仲介契約・FA契約締結前の書面による重要事項の説明」のNo.3で、説明が必要となる事項の一つに「担当者の保有資格、経験年数・成約実績」が挙げられています(2026-10-22確認)。説明書面の保有資格欄と社内体制の整え方はM&Aの重要事項説明と担当者の資格で、社員に資格取得を推奨するかの判断はM&A支援機関は社員に資格取得を推奨すべきかで整理しています。中小企業庁は、中小M&A支援に関わるアドバイザー個々人が高いスキル等を持って質の高い支援を実行できるように、中小M&A専門人材向けのスキルマップを別途策定しており、資格の学習範囲はこの人材面の議論と重なります。登録は機関を単位とする仕組み、資格は個人を単位とする仕組みで、対象が異なります。仲介・FAとして働く人向けの整理はM&A仲介・FAの資格事情に、資格全体の見取り図はM&A関連資格の比較表にまとめています。

05

立場別・いま何をすべきか

立場別の登録制度と資格への向き合い方(公表資料をもとに当メディアが整理。どの立場の者が資格を取るべきかを定めた公表資料はない。2026-10-26確認)
あなたの立場登録制度について資格について
これから独立してFA・仲介を始めるその年度の公募要領で要件と期間を確認し、ガイドライン第3版を業務手順に落とす受験資格なしで通年受験できる資格で基礎を固める。新資格は詳細公表後に判断
すでに登録済みの機関で働く担当者提出フォームの時期と、宣誓した遵守事項を自分の業務に照らして点検重要事項の説明を担う立場ほど、資格による知識の裏づけが効く
士業としてM&Aに関わる令和4年1月の制度概要ではデューデリジェンスのみの関与は対象外とされている。自分の関与形態を先に確認支援の枠組みを理解する目的で学ぶ。士業・コンサル向けの整理を参照
金融機関でM&Aを担当令和4年1月の制度概要では仲介業務を行う金融機関も対象とされている。自社の登録状況を社内で確認金融機関職員向けの資格整理を参照
買い手企業のM&A担当登録制度は支援する側の仕組み。自社が登録する話ではない支援機関を選ぶ目を養う目的で学ぶ。事業会社の担当者向けを参照
06

注意点・よくある失敗

  • 登録制度と資格試験を同じものとして説明する(前者は機関の登録、後者は個人の資格で、単位も枠組みも別です)。
  • 「登録されている=品質が保証されている」と読み替える(登録は遵守の宣誓と報告を伴う仕組みで、個々の案件の成果を保証するものではありません)。
  • 前年度の条件で申請の可否を判断する(受付期間・有効期限・提出フォームは年度ごとに設定されます)。
  • デューデリジェンスのみを受託する立場で登録を前提に計画を立てる(令和4年1月の制度概要では、士業等専門家のうちデューデリジェンスのみを行う者は対象としないと明記されています)。
  • 補助金の申請段階で支援機関の登録有無を確認しない(事業承継・M&A補助金の専門家活用枠では、FA・仲介費用について「M&A支援機関登録制度に登録されたファイナンシャルアドバイザー(FA)またはM&A仲介業者によるFAまたはM&A仲介費用に限る」とされています)。
  • 検討中の事項を確定した義務として顧客や社内に伝える(登録機関への資格取得の推奨は現状案で、確定していません)。
  • ガイドラインの版を確認せずに社内手順を作る(2026-10-26時点の最新版は2024年8月改訂の第3版です)。

よくある質問

中小企業庁財務課の令和4年1月の制度概要には、個人の資格や免許の保有を登録要件とする記載は見当たりません。同資料では、要件の中心は中小M&Aガイドライン遵守の旨を申請フォームで宣誓することとされています。ただし令和8年度の登録要件は「M&A支援機関登録制度公募要領(令和8年度)」に規定されるため、申請前に必ず同要領で確認してください。

中小企業庁財務課の令和4年1月の制度概要では「1事業者(法人・個人事業主)につき1登録」とされています。ただし対象となるのはFA業務または仲介業務を行う者で、デューデリジェンスのみを行う士業等専門家は対象としないと明記されています。

認められません。資格は個人単位、登録は機関単位の別の仕組みです。なお検討会資料では、M&A支援機関登録制度の登録機関に対して、自社の担当者への資格取得の推奨や、重要事項説明を資格保持者が行うことを求める方向が検討されていますが、現状案で確定していません。新資格を取る意味の整理は中小M&A資格を取るメリットにまとめています。

公表資料で確認できる直接的な効果は補助金です。事業承継・M&A補助金の専門家活用枠では、補助対象経費としてファイナンシャルアドバイザー(FA)や仲介に係る費用、デュー・ディリジェンス(DD)、セカンド・オピニオン、表明保証保険料等が挙げられ、このうちFA・仲介費用については「M&A支援機関登録制度に登録されたファイナンシャルアドバイザー(FA)またはM&A仲介業者によるFAまたはM&A仲介費用に限る」とされています(十六次公募の公表資料)。同公募の公募申請受付期間は令和8年10月2日(金)から令和8年11月6日(金)17:00(予定)と公表されています。あわせて、申請時に手数料体系報告フォームと支援業務報告フォームの申請が必要になり、登録後は不適切な対応に関する情報提供受付窓口の対象になります。

令和8年度公募分については、登録の有効期限が令和9年7月末までと公表されています。年度ごとに公募と有効期限が設定される運用のため、継続する場合はその年度の受付期間内に手続きが必要です。

中小企業庁は令和8年度公募について、毎月月末までに申請のあったものを翌月中旬頃を目途に公表する予定としています(公募期限の令和9年2月分は3月中旬頃)。公表までの期間は申請が月末に近いほど短くなります。ただし中小企業庁は、登録の要件を満たしていることを確認する目的で中小企業庁又はM&A支援機関登録制度事務局が調査等を行う場合、申請の翌月中旬頃の登録を行うことができない場合があるとしています(確認日:2026-10-26)。

一次資料・参考資料

更新・訂正履歴

  1. 最終確認

    記載の数値・制度情報を、一次資料・公式情報で確認しました。

  2. 初回公開
開示

比較と利害関係について

本メディアは「中小M&A資格ナビ」運営者が運営しています。

開示方針を確認する
次の一歩

読んだ内容を、無料の確認へつなげる

支援機関側の実務で問われる財務・法務・倫理のどこが弱いか、20問で確認できます。

中小M&A資格が自分に合うか確認する

当メディア運営者が提供するサービスです(開示)